子供の時から絵を描くことぐらいしか夢中になれる事が他には無かったので
デザイナーという職業がある事を知って地元の高校を卒業してから、
香川短期大学・生活文化学科・生活デザインコースに入学する。
毎朝JR児島駅からマリンライナーに乗って瀬戸内海を眺めながらの通学でした。
最初の壁にぶつかったのはデッサンの授業。
高校の美術の授業で少し描いていましたが周りのみんなとの実力の差に愕然としました。
他の授業でもみんなの凄さに自分が情けなくなり、ちょっとでも追いつきたくてとにかく必死でした。
それに僕は制作時間がとても長くなってしまい、
大きなキャンバスを家に持ち帰ることもしばしば。
それでも締め切りに間に合う事が出来なくてよく先生に怒られていました。
今までは目の前にあるモチーフを正確に描けば良かったのですがデザインは違いました。
自分の好きなように描ける純粋アートとは違うのかな?とぼんやり考え始めた頃でした。
しかし、頭では分かってるつもりでもなかなか思うようなデザインに近づけませんでした。
そこで僕はデザインを模写する事にしました。
みんなの作品や本に載っているデザインをよくよく見ることにました。
そうすることで表現の仕方やアイデアを形にする方法を学びました。
学校の近くにあった丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)に行く機会がありました。
丸亀駅からすぐの美術館を初めて見たときは「やられた~」といった印象でした。
正面玄関の壁一面に描かれていた作品に理由なく感動したのを鮮明に覚えています。
猪熊さんは三越の包装紙をデザインしていてあのモチーフは河原にあった石ころから産まれています。
長い年月をかけて自然が産みだした造形をデザインに活かす方法はすごく新鮮でした。
猪熊さんの作品は自由で既成概念に囚われない所が大好きです。
最近、YouTubeで猪熊さんを紹介している映像をみました。
一番印象に残ったのは「勇気を持ちなさい」という言葉でした。
今の自分に足りない所をズバリ伝えられたような気がして背筋がピーンと伸びました。